ひとり芝居 創作過程 書き散らし⑥

人間生活図鑑~おはようくしろ~まで2週間少々となりました。

暑い日が続きますが稽古は着々と進行中です。


セリフが身体に馴染んでくると、キャラクターが稽古中活き活きと動き始め、あれやこれやと試したくなってきている段階です。


セリフ回しだけではなく、身体表現というところでも稽古を重ねています。

そのキャラクターらしい身振り手振りは、キャラクターの一挙手一投足に説得力を与えてくれます。

まあかっこつけてこんなことを書いていますが、5年ほど前から始めたこのひとり芝居で、変わらずにやろうとしていることは、”人間の真似”です。


「人間そのものがおもしろい」ので、人間の真似をしようという、ただそれだけのことを舞台に乗せてみようと思っているのです。


誰もが気付いていることですが、世の中には本当に”いろんな人”がいますよね。

僕も短い人生ではありますが、色んな人に会いました。その誰もがやはり違う人間です。


他の動物にも、人間と同じだけの個体差があるのでしょうか?


イヌにしてみても、チワワとゴールデンレトリバーは違っても、同じ犬種、柴犬と柴犬で例えば麻生太郎と福山雅治ほどの違いはおそらくないでしょう。あるのかな?


知りませんけどそこまではないような気がするんですよ。


思想や喋り方、同じことが起こった際にAさんは泣くけどBさんは笑う。Aさんは笑うけどBさんは怒鳴る。


昔、都内の会員制スナックで働いていたことがあるんですけど、本当に色んなお客さんが来るんですよ。

で、僕はそういった人たちの前に座って、お酒を飲みながら接客をするんですね。

話しやすい人ならいいんですけど、そうじゃない場合がキツイんですよ、そんな中、よく店に来られる社長さんがいらっしゃいまして。


この社長さんと言うのが、そういうもともとの顔つきなんでしょうけど、むすーっとした顔つきで、怖いんですよ。軽い性格でもないのであまりしゃべる方でもない。で、僕を目当てに店にいらしてるわけでもないので、僕が接客中はとにかく会話が盛り上がらないんですね。(この辺は僕の接客スキルの乏しさのせいなんでしょうけど、そういうこと言わないでください)とにかく最初、僕はこの社長さんの接客をするのが苦痛でした。


で、ある日のこと。

僕が接客中、あるお客さんから、どこかで貰ったかなんだかで、子供用のシャボン玉のおもちゃをもらったんですよ。「要らないから長谷川君にあげる」ということで。


で、お客さん帰られて、僕はそのシャボン玉をテーブルの席に置いたまま、洗い物してたんですよ。

で、洗い物もひと段落してトイレから帰ってみると、

なんとその苦手な社長さんが席についてひとりポツンと座っているではありませんか。トイレ中だったので気づかず、少し待たせてしまった様子。


リアルに「うぉえっ?!」って声が出そうになるのを堪え、おしぼりを持ち「いらっしゃいませ」と席に着くと、先ほど置きっぱなしにしていたシャボン玉が自分の記憶よりもテーブルの奥側に引っ込んでたんですよ。


「あれ?」と思って「失礼しました片付け忘れです」とシャボン玉を片付けようとするとその社長が一言、


「娘にあげたいんだけど、貰っていい?」





この一言が、なんかうまく言えないんですけどすごく愛情深い一言で、いつものムスッとした顏は変わらずにそこにあるんですけど、フッと、自分の中で何かが軽くなったのを感じました。


そして


「世の中にはいろんな人がいるな」ということと同時に、「一人のなかにもいろんな人が住んでいるんだな」と、そんなことを思いました。


僕はこの一日をきっかけに、この社長さんと仲良く話ができるようになることを確信しました。


今までの僕は、自分の色眼鏡をかけて、歪んだ景色を正しい景色と勘違いしてただけだったんです。自分の勘違いを恥じました。


・・・と思ったんですけど別に次の日からは今まで通り喋りづらかったです。(ガクっ!)



そんなに都合のいい話はありませんが、なるべくすべて受け止めて生きようと思っています。





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長谷川恒希のひとり芝居 人間生活図鑑 おはようくしろ

2021年8月21日(土)15:00~16:30 18:30~20:00の2ステージ、

北海道立釧路芸術館にて開演!


チケット御予約はkoki1223@gmail.comまで!

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